「本書を出すにあたっての著者の狙いは大げさに聞こえるかもしれませんが、お金のビジネスの世直しをしたいという点にあります」
今回は山崎元さんが書かれた「マンガでわかるシンプルで正しいお金の増やし方」という本を解説します。
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この本はこんな方にオススメです。「お金のことで損したくない」「お金を増やしたい」「残酷な真実を知る勇気がある」そんな方におすすめの本です。
この本の著者山崎元さんは資産運用の専門家です。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社、その後12回の転職をしています。その多くを金融業界で務められていました。悪いお金のプロたちが仕掛けてくるダメな金融商品とサービスが本書では沢山紹介されています。
実際に金融業界で働いていたので金融ビジネスの闇や、よからぬ手口がよくわかるそうです。大きな人が陥りがちな罠があると著者は言います。
本書ではお金の運用、生命保険、不動産、年金などの身近なお金の問題について解説されています。本書はお金のプロたちが仕掛ける罠の見抜き方を漫画を通して分かりやすく教えてくれる、そんな本です。
著者が金融業界で実際に働かれており、お金のプロだからこそ説得力がある本です。
※内容が濃いので繰り返しこの記事を読むことを推奨します。
結論
というわけで著者の山崎さんの紹介はこのあたりにして、いつも通り最初にこの本の結論を言っておきます。」
お金を守る力を身につける⇒お金のプロたちが仕掛ける罠にはまらない知識を手に入れる。
自分の資産を「生活防衛費」「リスクを取れる資産」「リスクをとりたくない資産」に分け、生活防衛費は銀行に預金しとく、リスクを取る資産はインデックスファンドで運用する、リスクを取りたくない資産は個人向け国債変動金利型10年満期で運用する
というわけでこの記事では
①お金を守る力を身につける
②インデックスファンドでお金を増やす
③安全資産としての個人向け国債変動金利型10年満期を購入する
という順番で解説していきます。
お金を守る身につける
著者は一貫してお金の問題に関しては他人を信じるなと言っています。
なぜならお金の問題には人間リスクがあるからです。人間リスクとは他人からの影響で間違った意思決定をしてしまうことです。本書では特に手数料ハンターたちの話が出てきます。
例えば手数料ハンターの言う通りに金融商品を買う。そして知らない間にとても高い手数料を取られ続けてしまう。これは人間リスクです。手数料ハンターの話は本書で一貫して話が出てくるので非常に重要な部分です。
本書の漫画で出てくる手数料ハンターとして証券マン、銀行員、生命保険会社販売員、ファイナンシャルプランナー、不動産の営業マンが出てきます。こちらに出てくる手数料ハンターたちは金融の専門家です。専門家は豊富な知識を持っています。
しかしあなたのためにその知識を使ってくれるとは限りません。また私たちのためではなく自分のために使うこともよくあるということです。専門家なら信頼できるというのは間違いです。著者は「あなたに商品を売ることによって儲けを得る可能性のある人の話を聞いてはいけない」「他人の言葉だけを手掛かりに知らないものに投資すること自体が愚かなこと」「たとえ友人であっても商品を売る人を信用して頼ることは避けるべき」これがお金の世界の常識だと言っています。
自分自身で勉強して手数料ハンターを遠ざける必要があります。ここからは手数料ハンターについて順に解説していきます。
証券マン
まずは証券マンです。証券マンは手数料が高い金融商品をお勧めしてくる場合があります。なぜなら手数料が低い商品を勧めても自分たちが儲かることができないからです。
最近オススメされる悪い投資信託はテーマ型の投資信託だそう。テーマ型の投資信託とは ai やロボットや自動運転など特定の業界や企業に投資するというタイプの投資信託です。
これがなぜ悪いのかというと、そもそも信託報酬が高い、ブームが来ると私たちが分かる時には市場は既に織り込み済みで株価はすでに高くなっている。投資信託は分散投資がメリットのはずがテーマで絞り込んでしまっている、というような点が悪い点です。
銀行マン
では続いて次の手数料ハンター銀行マン。いま一番気をつけなければならないのが銀行マンだといいます。理由は以下の4つです。
- 預金の動きを通じて私達の情報を持ちすぎている
- 窓口では手数料が高く、ろくな商品を取り扱っていない
- 銀行は安心だという妙な信用がいまだにある
- 低収益化してで手数料稼ぎに必死になっている
以上のようなことが理由として挙げられます。今は超低金利時代で本業の金利ビジネスでは儲かりません。だからこそ今、力を入れていることはお金持ちから手数料で儲けること、貧乏人からはカードローンの高い金利で儲けること、この2つです。
銀行の窓口に行って資産運用の話をすると銀行自体が儲かるように手数料の高い商品を紹介していきます。銀行員との付き合い方としては預金は1人1行1000万円を守る、銀行員とはなるべく顔を合わせない、銀行では決して運用商品を買わないです。
最初の預金は1人1行1000万円を守るというのをさらに解説すると、銀行が潰れた際に銀行預金が預金保険で方される範囲は1人1行1000万円です。
1行への預金はこの範囲に収めるのが基本原則です。これを超える金額は後で解説する個人向け国債変動金利型10年満期を購入するか、別の銀行に預けるかの対策を考えます。
生命保険会社販売員
では続いての手数料ハンターは生命保険会社販売員です。保険を売る人たちは私たちの漠然とした不安や、安心したいという気持ちにつけこんできます。
しかし民間生命保険の多くはそもそもほぼ不要だと著者は言っています。なぜなら日本の医療制度はしっかりしており、民間の医療保険に入る必要がないからです。民間の医療保険に入らなくとも健康保険の高額療養制度を知っていれば十分です。
健康保険の高額療養制度は健康保険に組み込まれた制度の一つです。保険診療で一定額以上かかった医療費は健康保険組合から還付される制度があります。健康保険があれば、がん保険を含む民間の医療保険は不要だといいます。
民間の保険に支払うよりもそのお金を貯蓄に回し資産にをした方がずっといいです。もちろん保険自体は非常に優れた仕組みです。入るべき保険は発生確率は小さいかつ発生した場合の損害が大きな時です。
例えば火災保険や自動車事故に備える自賠責保険などは必要な保険です。しかし他の民間の保険はほぼ不要だといいます。
発生確率が小さいし、発生した場合の損害が小さい、もしくは発生確率が高いが発生した場合の損害が小さい、このような場合は預金で賄うべきです。
ですので自賠責保険は必要ですが、車両保険は必要ないと言います。また病気や高齢化のような誰の身にも起こり得るありふれた現象に備えることに対しては保険は不向きです。預金で賄うべきです。
そして発生確率が高い、かつ発生した場合、損害が大きなことなんかには近づかないことが必要です。民間の保険に入るにしてもネット生保など保険料の安い保険会社を探して掛け捨ての保険に入るべきです。
またお金が返ってくる積立型の保険はイマイチだといいます。なぜかと言うと保険会社の保険の補償の手数料、資産運用の手数料両方に高額な手数料支払う仕組みになっているからです。
お金が返ってくる率も悪く、資産運用としては中途半端です。同じお金を払うなら保険料よりも自分で貯蓄運用するほうが得です。
生命保険を使うことが合理的になる場合も2つ紹介します。まず1つが「経済的に余裕がなく、いざという時に頼ることのできる親族等がいない夫婦に子供が出来た場合」この場合はネットの掛け捨てで、子供が成人するまでの期間、主な稼ぎ手の死亡保障ないしは、就業不能保険に入る。
そして2つ目は「今の税制で相続税を課税されるくらい大きな財産を持っている人が、相続対策で生命保険に加入する場合」です。
この場合、相続人1人当たり保険金500万円が相続非課税になります。
以上の2つのような場合だと保険を使うことが合理的になるといいます。
ファイナンシャルプランナー
では続いての手数料ハンターはファイナンシャルプランナーです。
こちらも前に説明したことと同じで、著者は「あなたに商品を売ることにより儲けを得る可能性のある人の話を聞いてはいけない」と言います。
ファイナンシャルプランナーが独立したり、会社をつくったりしても、そもそも相談依頼がそれほどないのだそうです。さらに1時間当たり1万円とか1万5000円といった相談料だけでは十分な収入にはなりません。
ですので多くのファイナンシャルプランナーが生命保険会社と代理店契約証券会社と証券仲介契約を結んで、販売に対する報酬を得ているそうです。
また不動産を販売した場合には不動産売買代金の1%から3%くらいの謝礼を受け取っています。有名なファイナンシャルプランナーでもマスコミに都合よく使われているだけの人が多数いるそうです。
金融機関主催の講演やセミナーに呼ばれるファイナンシャルプランナーがその金融機関が扱う商品に対して好意的な意見を言いがちになります。
しかしどうしても相談したい場合もありますよね。そういう時は「自分に商品を売ることで利益を得る人ではないことが絶対条件だ」と著者は言います。
不動産の営業マン
最後の手数料ハンターは不動産の営業マンです。
人生最大の買い物、それは不動産です。持ち家か賃貸かどっちとはよく話題になる人気のテーマですよね。一生賃貸がいいのか、それとも一軒家やマンションを購入するべきなのか、こういう話はよくあると思います。
これはどちらが正解なのでしょうか?
著者いわく新築マンションだけは買うなと言います。
なぜかというと新築マンションを売るための経費、売ることによって開発業者が得られる利益、その全てが売価に乗っているからです。
新築マンションを売るためには人件費、広告費、モデルルーム建設費用、そして利益などが必要ですよね。その全てが新築マンションの売価には含まれています。
ですので私たちが新築マンションを買った瞬間、売価より資産価値が落ちることになります。その後時間が経てば経つほど建物価値は基本的に下がっていきます。
またあと家そのものの価値が上がるか下がるかは誰にもわかりません。周辺の開発状況によっても価値は変わります。
つまり家を買うということは投資です。それなのになぜ多くの人は家を買うのでしょうか?
不動産の営業マンがいつもいう古えからのセールストークがあります。「将来自分の持ち物になる支払いと、自分の持ち物にならない支払い。さあはどっち」こちらはセールストークの常套手段です。
確かに今後引越しをせず、家族構成も変わらないなら持ち家が得になる場合もあります。しかし子供の都合や転職転勤で住む場所が変わったり、老後を子供が自立して行ったら家が広すぎる場合もあります。
つまり自分が住んでいる物件であっても、転勤や転職、家族構成の変化、子供の都合、自分の健康状態といった様々な要素で転居が必要になる空室リスクがあります。
さらに将来転売した場合に値下がりしていると損する、価格変動リスクもあります。結局これは投資用不動産と一緒ですよね?
ですのでそんな人生の変化には賃貸暮らしの方が対応はしやすいです。しかしどうしても家を購入したい人はいます。一国一城の主になりたい分かります。そんな人もいると思います。家を購入することのメリットデメリットを理解して、それでも家を買いたいという場合は中古物件が良いと著者はいいます。
中古物件は新築物件のような開発業者の利益が乗っていません。築10年を過ぎると価格が大きく下がってきます。家を買う際は家の購入を投資として考えたときに家の価値が安ければ買う、高かければ買わない方がいいということです。
複数路線のある駅の駅近新築マンションは、資産価値は下がらずむしろ上がっている例だってあります。稀かもしれませんがそんな例もあります。家の価値が高いか安いかは自分でしっかり勉強して判断することが大事じゃないかなと思います。
もし住宅ローンを組む場合は将来の金利上昇のリスクを考えると固定金利を基準に考える方が安全です。
というわけで以上手数料ハンターについて順に解説してきました。私たちのような素人はお金の話はお金の専門家に聞くのがいい、専門家の言うことに間違いはないだろう、友人なら信頼できる、そう思ってしまいがちです。
そして言われるがまま手数料が高い金融商品を買ってしまい、騙されてしまいます。繰り返しになりますが「あなたに商品を売ることによって儲けを得る可能性がある人の話を聞いてはいけない」という著者の言葉を頭の片隅に置いておくこともいいのかなと思います。
インデックスファンドでお金を増やす
続いては資産を増やすという話についてです。
自分の資産を増やす為にはインデックスファンドがオススメされています。どのくらいの資金をインデックスファンドで運用したらいいのか?それはまず自分の資産を3つに分けた方がいいと著者は言います。
その3つとは「生活防衛費」「リスクを取れる資産」「リスクをとりたくない資産」この3つです。
生活防衛費
1つ目の生活防衛費は当面の生活に必要な資金です。こちらは銀行の普通口座に置いておきます。著者は生活費の3カ月分くらいでいいと言っています。
これは何か不測の事態が起きても借金しなくてもいいような資金になります。
リスクの取れる資産
次に2つ目の「リスクをとれる資産」についてはインデックスファンドでほったらかし投資をします。国内外のインデックスファンドに投資をしましょう。
著者がオススメしている投資は手数料が安くて幅広く分散投資されたインデックスファンドと呼ばれるタイプの投資信託です。著者は外国株式のインデックスファンドと国内株式のインデックスファンドに概ね6対4で投資することをお勧めしています。
sbi 証券や楽天証券などネット証券に口座を開きましょう。ネット証券の最大の長所は手数料ハンターに会わなくて済むという点です。またネット証券は窓口業務の人間がいない分人件費がかかっていません、その分手数料が安くなっています。
👇投資について知識がなくて不安な方は、下記に申し込んで勉強するのもお勧めです。
株式投資の学校手数料に関しては著者は0.5%ルールというものを提唱しています。この0.5%ルールとは一切の手数料を合算して、年間に運用額の0.5%以下の金融商品を選ぶということです。0.5%以上の手数料払う商品は全て避けます。これが0.5%ルールです。
著者は一旦買った投資信託はそのままほったらかしでいいと言っています。何割上がったら売った方がいいという原則はなく、現金が必要になったらその時に売ればいいと言っています。15%から20%くらい上がったら売った方がいいという本もありますし、こちらは自分に合う投資方法を見つけることが必要なのかなと思います。
またiDeCoやNISAなど税制上有利に運用できる制度を極力利用します。積立NISAにある投資信託の運用商品は金融庁が厳選した運用商品です。販売手数料がかからないことや信託報酬が安いことが主な選定理由です。
正直これ以外の運用商品は目を向ける必要がないと思います。「一般的なサラリーマンなら手取り収入の2割ぐらい、国民年金だけのフリーランスなら3割ぐらいを現役時代に貯蓄運用しておくと老後の生活につじつまが合うはずだ」と著者は言っています。
というわけで以上がインデックスファンドについてです。
安全資産としての個人向け国債変動金利型10年満期を購入する
では続いて安全資産としての個人向け国債変動金利型10年満期を購入する。リスクをとりたくない資産、こちらは個人向け国債変動金利10年満期を購入することを著者はお勧めしています。
これはメリットとして国が毎月発行している購入は1万円からできる、元本割れ無し、年率0.05%の最低金利が保証されているというようなメリットがあります。
こちらもSBI証券などネット証券で買うことができます。銀行が潰れるリスクのほうが国が潰れるリスクよりも高いです。ですので国債の方が銀行にお金を預けておくより安全です。
繰り返しになりますが預金は1人1行1000万円までです。これを超える金額は個人向け国債変動金利型10年満期を購入する、または別の銀行に預ける、これが著者のススメするやり方です。
まとめ
- お金を守る力を身につける。この章では5人の手数料ハンターたちについて解説しました。証券マンや銀行員、保険会社の販売員やファイナンシャルプランナー、不動産の営業マン。このような手数料ハンターには気をつけましょう。
- インデックスファンドでお金を増やす。この章では手数料が安くて幅広く分散投資されたインデックスファンドという投資信託でお金を増やす、ということについて解説しました。
- 安全資産としての個人向け国債変動金利型10年満期を購入する。国債は銀行に預けるよりも安全資産であり、金利もいいです。安全資産は個人向け国債にしましょう。
今回紹介した本マンガでわかるシンプルで正しいお金の増やし方についてまだまだ紹介できてない部分が多いです。おすすめの本ですのでぜひ読んでみてください。いつも通りリンクは下に貼っています。というわけで今回の知識が何か少しでもあなたの人生の役に立てれば幸いです。
ではまた次の記事でお会いしましょう。
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