【解決済でした】その悩み、哲学者がすでに答えを出しています|時代を代表する天才に相談してみた【要約】

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今回は小林昌平さんが書かれた「その悩み哲学者がすでに答えを出しています」という本について解説します。

その悩み、哲学者がすでに答えを出しています

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もう本書の結論はまんまタイトルの通りです。我々が抱える悩みの答えはもうはるか昔バッキバキに頭が冴えている哲学者がすでに解決済みですという話ですが、その答えをカンニングしちゃいましょうよ、というありそうでなかった画期的な一冊でございます。

皆さんお悩みがゼロってことはないですよね?仕事とか健康とか、お金か体に関する悩みを何かしら持っていらっしゃると思いますが、それはもちろんなんら問題ありません。二つ三つ悩みがあることは全く問題がないというか何ならそのほうが健全なので悩みは持つべきだと思うぐらいですが、それと同時にそれらの悩みを1人きりで抱え込むのは絶対NG。このポイントもぜひお伝えしておきたいと思います。

誰しもお悩みはあって当然、でも一人で抱え込むのだけは心が病むので絶対やめておきましょう。例えば私が抱えている悩みも、私だけが陥っている固有のお悩みのように感じてしまうんですが、実際そうではないんです。どこかで同じような方が同じように悩んでいるものです。しかも私よりずっと頭が冴えているどこかの人がすでに悩みを解決済みだったりするわけで、その人にありがたく頼っちゃいましょうと。

その頭がキレキレに冴えてる人の最たる例が哲学者です。クラスで一番頭がいいなんてレベルじゃなくて、その時代を代表しちゃうような天才がすでに事前に悩んでくれているんです。しかも人生をかけて悩みと向き合い続けてしかもその答えをご丁寧に書物に残してくれているわけです。ぜひ本書を使ってその答えをカンニングしちゃいましょう。

本書はあらゆる悩み、仕事、劣等感、人間関係、恋愛、結婚、人生などなど合計で26の悩みに答えてくれてるわけなんですが、すべてを紹介しきれないため、今回は管理人的に厳選して4つの悩みについてお話しさせていただきます。

先に結論として、悩みとその解決策の順に列記すると

  • 一つ目「会社をやめたいけどやめられない」という悩みに対しては「動かずに動け」
  • 二つ目「いつも忙しくて時間がない」という悩みに対しては「スケジュール帳を捨てろ」
  • 三つ目「自分の顔が嫌いだ」という悩みに対しては「とかげではない証拠だ」
  • 四つ目「人の目が気になってしまう」という悩みに対しては「マジックミラーを叩き割れ」

いかがでしょうか?この哲学者らしい謎めいた回答になるべくわかりやすく解説させていただきますので最後までお付き合いいただければと思います。

悩み① 会社を辞めたいけど辞められない

ではまず一つ目「会社をやめたいけどやめられない」という悩みについてです。ブラック企業でパワハラに苦しんでる人とか、別にブラックっていうことじゃないんだけども人生一度きりと考えるとこの仕事をずっと続けていいのかなーって悩んでいるような人、サラリーマンやってる方々の中には非常に多いと思います。

ただ実際にエイヤーと思い切って会社を辞めちゃえる人はそう多くありません。辞めたいとは思ってるけど、転職したり腕一本で生きてくフリーランスになるのは想像しただけでも身震いがする。結果辞めるに辞められないと、その気持ち非常によく分かります。

そして20世紀後半を代表するフランスの哲学者ジルドゥルーズもありがたいことに「いいから勇気を出せ!挑戦しろ!」とは言いません。ドゥルーズは一言「動かずに動け」と言います。いやどっちやねんと皆さんそう思われたかと思いますので詳細に解説していきます。

確かに資本主義においてサラリーマンは会社を辞めたくなっちゃうのも当然、非常に搾取されやすい立場にあります。莫大なお金を持つ資本家が労働するサラリーマンたちをこき使ってさらにお金を莫大に増やすそんな仕組みになっています。確かに大枠ではそういうサラリーマン搾取の構造になっているんですが、よくよく見るとその構造はボコボコに穴だらけなんだというのがドゥルーズの主張です。

体は動かないでもいいからその抜け穴から精神だけでも逃げ出せと、そりゃサラリーマンとして働くのであれば大半の方が体は会社に縛り付けられているかもしれないんですが、精神まで縛り付けられる必要はなくて抜け穴から精神だけでも逃げろ、それがドゥルーズの主張です。

何言ってるのって思われるかもしれませんが、現代のサラリーマンに置き換えた時、めちゃくちゃ分かりやすいのが副業ですね。副業こそがドゥルーズのいう穴の現代版です。

例えば今の会社の仕事が退屈だって言うんだったら副業で刺激的な仕事をする、もっとお金を稼ぎたいんだったら稼げる副業に挑戦してみると、今の会社にいながら穴に逃げることができるんです。

今の会社から身も心も丸ごとを抜け出すには勇気がいりますし、大きなリスクも伴うのでまずは部分的な穴から抜け出してみる副業はいいですよ。もちろん副業以外にも穴はたくさんあります。これはオススメするわけじゃないですが極端な話、会社の評価なんてどうでもいいと、会社が自分をクビにできないの良いことに、使えない窓際族として割り切って生きていくことだって一種の抜け穴なのです。

ただ会社を辞める勇気も出ない、でも会社からのプレッシャーに押しつぶされて気が狂いそうってくらいに追い込まれてるんだったら、私はそれも一つ戦略的撤退だと思います。

要は動けない動けないって心を病んじゃう人とかいるんですけども、別に無理して大きく動く必要もなかったりする。確かに環境を変えちゃった方が今いる状況を一変させられますが、その一方で環境なんて変えなくても抜け穴に部分的に逃げ込むことで最低限の状況は変えられるということも知っておくべきです。

悩みまくってる、だけど動けない。そんな危険な状況の方にこそドゥルーズの「動かずに動け」この言葉を贈りたいと思います。

悩み② いつも忙しくて時間がない

続いて二つ目「いつもバタバタと忙しく時間がない」という悩みについてです。

「なぜかいつも忙しくて体がいくつあっても足りない」「こんな感じでバタバタしながらいつのまにか死んでいくのだろうか」と思うと怖くなることはありませんか?そんな忙しすぎる毎日を過ごす人にはノーベル賞も受賞している哲学者アンリベルクソンが語る「時間論」にぜひ触れて頂きたい。これを超ざっくりで一言でまとめてしまうと「スケジュール帳なんて捨てちまえ」ということです。

いやいやスケジュール帳がなくなったら予定を効率的に管理できなくなって、もっとバタバタするのでは?と思われるかもしれませんが、ベルクソンは根本から反論していきます。

そもそも効率的に予定を管理してる時点で時間の捉え方が狂ってるだろうとか言ってくるんです。これどういうことかって言うと、我々は時間と空間っていう全く別の性質のものをまるで一緒のもののように勘違いしちゃってるんです。時間は大きさが変わる一方で、空間は大きさが変わらないまったく別の性質を持ったものなのに、全く別モノの時間をスケジュール帳の空間で管理しちゃってる、だからおかしな話になるんです。

よくわかりませんよね?大丈夫ですもう少しだけ聞いてください。例えば時間ってめちゃくちゃ楽しい時間は一瞬のように感じるのに、しんどい時間は永遠ような長さに感じるじゃないですか?同じ1秒という時間だとしても大きさが変わるような感覚きっとみなさんもこれは共感していただけると思います。

これは明らかに空間と違った特徴です。空間はどんな感情のときでも同じ大きさ、楽しい時もしんどい時も目の前にある1センチは変わらず1センチです。この違いわかりますかね?時間は状況によって大きさが変わる、空間は目に見える物理的なものなので大きさが変わらない、この大きな違いがあるのに我々はスケジュール帳の空間を使って自分の時間を管理しようとするんですよ。大きくなったり小さくなったり濃くなったり薄くなったりする1時間を、スケジュール帳に固定化された2センチの幅で一律に管理していることって我々当たり前のようにてますけど、時間と空間の性質の違いを踏まえるとなかなか不思議なことをやっているわけです。

こんな不思議なことばかりやっている我々はどうなっちゃうかって言うとその空いた2センチの空間を埋めたくなります。まるで自宅の部屋が余ってるから有効活用しなきゃとものを置くように、ぎっちり予定を入れ始めます。しかもスケジュール帳に書く予定っていうのは仕事か他人との約束かそれらしいイベントだったりするわけです。超ざっくり言えば他人に縛られる時間でぎっちり埋めちゃうんです。

自分一人で何も強制されない時間こそが自由で自分らしくいられるはずなのに、我々はスケジュール帳という空間で管理することによって、予定らしい予定で今を埋めて自ら自由を手放しているんです。

つまり毎日忙しい忙しいとバタバタしてる人っていうのは、自分の時間を空間として分かりやすく言えば埋めるべき隙間として捉えているんです。それじゃあ根本的にダメだとベルクソンは言います。

とはいえですねさすがに一般的なビジネスパーソンが ベルクソン の言うとおりマジでスケジュール帳を捨てちゃったら仕事にならないと思うんで、まずは全くスケジュール帳を埋めないそんな一日をつくってみましょう。何も決めずに思いつくがまま本を読んだりとか映画を見たりとか、奥さんと雑談をしたりとかそんな一日を過ごすことこそが最高に贅沢な時間の使い方なんです。

悩み③ 自分の顔が嫌いだ

続いて3つ目「自分の顔が嫌いだ」という悩みについてです。

目が細い、鼻が低いといった顔のことだけじゃなくて、背が小さいとか太ってるなどなど外見にコンプレックスを持っている人は非常に多いと思います。そんな悩みにも哲学者が答えてくれます。

日本でも本が300万部以上売れた思想界のスーパースター、サルトルが「外見に悩むのはあなたがトカゲではない証拠だ」と独特すぎる励ましをしてくれます。これどういうことかというと、超ざっくりで言えば「トカゲみたいな動物は当然のようにありのままのを自分の姿を受け入れて生きていけるがその一方で、人間はどうにもありのままの姿を受け入れて生きられないんだ。だからこそ人間って素敵だ」ってことです。

よく意味分からないと思うんでさらに解説していきます。トカゲと人間はめちゃくちゃ大きな違いがあって、それが自由さです。どっちが自由かというとなんと人間のほうなんです。圧倒的に人間の方が自由だというのも、トカゲには明確に固定された生きる目的があります。トカゲたちの目的はただひとつ、子孫を残すこと。もうそれだけしかありません。そのために昆虫を食べて、長い尻尾を持って、天敵に襲われたら自分の尻尾を切ったりなんかしてどうにか生き延びる。すべては自分の子孫を残すため、その目的を一瞬たりとも疑いません。

ただ人間はそうじゃない、そういういわゆる動物的な目的も持ちながら、あえて子孫を残さないという選択も自由にできる生き物なんです。サルトルはこれを「人間は自由の刑に処せられている」と表現していますが、要は人間は自由すぎてそれが刑罰に近いぐらいしんどいってことです。

何を食べてもいいし、子孫を残さなくてもいいし、なんなら全てがめんどくさくなった人が自ら生き延びないという選択まで出来てしまうと、徹底的に自由です。こんだけ自由すぎるからこそ迷いとか悩みが生まれてしまうんです。その最たる例が外見に対する強いコンプレックスだってそうです。

トカゲだったらもう生きる目的が子孫を残すことだけ、カッコよくなってモテたいとかではありません。ダイエットなんてしないし、おしゃれもせずに持って生まれたありのままの手足と尻尾と鱗で誰でもいいから交尾しようとする非常にシンプルなんです。

ただ人間は幸か不幸かありのままの姿からいくらでも自由に変われてしまうんです。サルトルはそれを「実存は本質に先立つ」と表現し、人間は持って生まれた本質を実存、実際の今の存在によって超えてしまう不思議な生き物だと表現しています。

これどういうことかというと例えば小学生の頃はバカだアホだと言われてたはずの人が大学受験で大逆転したり、ブサイクだのデブだの言われてた人が美容と筋トレでイケメンになったり、これがまさに実存が本質を超えている状態です。この現象はトカゲではありえないことなんですが、この自由さこそが逆に我々人間を苦しめているんです。

不細工と言われ続けてはいるけど、もしかすると今後何かの拍子にイケメンになれるかも、イケメンには顔の構造的になりようがないにしてもコミュ力とかお金を駆使してモテるようにはなれるかも、みたいなその期待が逆に不安を生むわけです。

で実はサルトル自身もまさにそうだったんです。サルトルは背も小さくて、目もギョロっとしていたそうで、まったくモテない青春時代を過ごしました。あそこで悶々と哲学と向き合う中で気づくんです。

自分はトカゲではないと、自分は人間であって人間は持って生まれた本質にいくらでも抵抗できる生き物だと、ただ一方でサルトルは自分の身長を伸ばしたり、その時代に整形するなんてことはなかったのでとにかく知識人としてモテようと猛勉強します。

そしてなんと実際に同じ大学で断トツの美人と言われた女性と付き合って、さらにその後も愛人を作りまくるような情熱的な人生を繰り広げます。そんな恋愛劇のような人生がまあ良いか悪いかはさておき、サルトルはトカゲにはない人間の自由さという呪いと真正面から向き合い克服したわけです。

悩み④人の目が気になってしまう

そして最後に四つ目、「人の目が気になってしまう」という悩みについてです。こちらはミシェルフーコーという哲学者に答えを聞いてみたいと思いますが、その結論を一言で表現するとすれば「マジックミラーを叩き割れ」というものです。これはフーコーがパノプティコンという刑務所のシステムから着想を得た考えです。

このパノプティコンっていうのが要はマジックミラーです。囚人たちをただ監視するだけじゃなくてマジックミラー越しに囚人たちからは見えない状態で監視する、そんな仕組みのことをパノプティコンと言います。

このパノプティコンっていう仕組みで監視すると何が起きるかというと、囚人たちが監視してない時でもサボったり悪いことをしなくなるんです。なぜならマジックミラー越しで監視されると、いつ監視されてるかどうかわかんないんで常に監視されているような気分になるからです。

フーコーは一般社会においてもこのパノプティコンと同じような現象が起きているとそう主張しました。社会のルールに触れないように、他人に迷惑をかけないようと気を使って生きている我々は、いつのまにか誰かに常に監視されてるような状態になってないかと。

フーコーは「他人の目の内在化」と言いましたが、要は他には特に気にしないようなことでさえも自身で監視されているように勝手に思い込んで、もはや自分で自分を監視しちゃってるような人が現代社会において増えてきていると、そう警鐘を鳴らしたんです。

一言で言えば現代社会の同調圧力はえぐい。日本社会なんて特に同調圧力が強いことは皆さんご納得いただけると思います。フーコーはそんな同調圧力に屈してパノプティコンの囚人のようにビクビクしていてはいけないと、「懸命になってゲイにならなければいけない」という言葉を残しました。

フーコー自身が1900年代を生きる同性愛者だったので同調圧力のせいでいろんな辛い目にあったんでしょう。そんな同性愛者への風当たりが非常に厳しい時代に勇気を出して、「懸命になってゲイにならなければいけない」とそう言い放ったんです。

もちろん皆さんもご理解いただけると思いますが、このフーコーの言葉は性的に同性愛に目覚めよという趣旨ではありません。今世の中を支配しているその空気感を常に疑うべきだという意味です。その空気感は何を根拠にしているのか、どういう歴史を経て生まれたものでその空気感が今もなお正しいものなのか疑ってかかるべきだと。

要はパノプティコンでビクついてるのではなくてマジックミラーを叩き割ってもマジックミラーの先に本当に誰かいるのか確認してみようと。もし誰かいたとしたらその相手にどこまで行ってOKで、どこからがガチでNGなのか明確な線引きを問いかけてみようと、そんなメッセージがフーコーの言葉には込められていました。

まとめ

はいということで今回は小林昌平さんが書かれた「その悩み哲学者がすでに答えを出しています」という本について解説させていただきました。本書はあらゆる悩み合計で26の悩みに応えてくれているわけなんですが、今回は尺的に厳選して4つの悩みについて話しました。

尺的に紹介できなかった内容も本書にはありますので、下記に本のリンクも貼っておきます。お勧めの本なので気になった方はそちらもぜひチェックしてみてください。

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